新しい働き方を、健康視点で考える
~これからの健康経営が、人と組織を変えていく~

タニタヘルスリンクの代表・丹羽隆史が健康経営・健康分野のトップランナーを訪問し語り合う特別企画。第一回目のゲストはイトーキの平井社長との対談を前編・後編に分けてお届けします。

前編では、自社の取り組みとして自ら「働く」に変革を起こしながら、その知見と経験を、お客様の働き方改革の支援や新しい価値の創出を提供している2社の社長が、それぞれの立場から「これからの健康経営」を語り合います。
【前編】INDEX
  • 最新の健康経営の取り組みでは、データを見ながら成果と次のアクションを考える
  • 健康経営は、会社と従業員のエンゲージメントを高めるツールである
  • 個人が「働く幸せ」を感じることが一人ひとりのパフォーマンスを最大化する
  • ポジティブな健康経営を志向していくために、社長の役割は大きい

 

株式会社イトーキ
代表取締役社長 平井 嘉朗 様
1984年4月に入社し関西支社(大阪)で営業として勤務開始。1995年にイトーキ労働組合の専従を務め、以降メンテナンス会社設立準備室、環境本部、関西法人販売課長、人事部長を歴任。2012年に営業戦略統括部長、2013年に執行役員に就任し、2015年3月から代表取締役社長に就任、現在に至る。
株式会社タニタヘルスリンク
代表取締役社長 丹羽 隆史
2013年、株式会社タニタに事業戦略部長として入社、CHO、ヘルスケア事業担当執行役員を歴任。2016年よりタニタヘルスリンク代表取締役社長に就任し、2018年11月第三者割当増資を機にタニタヘルスリンク専任。
経済産業省 次世代ヘルスケア産業協議会健康投資WG委員、文部科学省 官民連携によるスポーツを通じた健康増進策検討会議委員、厚生労働省 健康経営500社ワーキンググループ構成員、神奈川県 未病指標の社会システム化に向けた研究会 委員。

「働きながら健康になろう」を提案してきたのは、現場の従業員でした

丹羽:
先般、弊社が進める「健幸プラットフォーム」の構築にイトーキ様にもご出資いただきました。はじめにその理由からお聞きかせいただけますか?

平井様:
はい。一つは「日本を元気にしたい」というその想いに共感したからです。健康な人たちが健康的に働くことで日本は元気になると。もう一つは、御社は健康経営に関する貴重なデータをたくさん持っていて、それを私たちのサービスと組み合わせたら、新しい価値を生み出せるのではないかと考えました。

丹羽:
ご期待いただきありがとうございます。まさに、健康的に働くことが日本を元気にすると思うんですよ。現役世代は大半の時間、会社で働いているわけですし、もし、不健康な環境の中で、不健康な食べ物を摂ったり、運動をしなかったりしていたら、いずれ現役をリタイアした時に、それが疾病というかたちで現れて、好きなことや社会貢献もできなくなってしまいますからね。

平井様:
そうですね。「健康」というベースがあっての「働く」ですから。

丹羽:
イトーキ様ご自身も健康経営を実施されていますが、どんなきっかけでスタートしたんですか?

平井様:
2012年、東京・京橋にSYNQAという新施設をつくることになって、それをどういうオフィス環境にしようかと考えていました。その時に「働きながら健康になろう」というコンセプトが、現場の従業員の中から出てきたのがきっかけです。それ以降、いろいろな試行錯誤をしながら、2014年にできあがったのがオフィスワーカーの健康増進を促す「Workcise(ワークサイズ)(*注1)」なんです。
丹羽:
「働きながら健康になろう」というコンセプトがボトムアップで出てきたところが素晴らしいですよね。実は「Workcise」を初めて知った時から、弊社でも取り入れたら従業員がすごく喜ぶだろうと考えていて、一昨年、イトーキ様にプロデュースしていただいた健康オフィスに移転しました。
今では弊社の「健康経営オフィス」はモデルルームも兼ねていて、多くのお客様が見学にいらっしゃいます。社内で気軽に打ち合わせができるスペースや、カウンター・集中スペースなども業務のスピードアップにつながると従業員には好評です。

平井様:
ありがたいですね。弊社では、企業で働く従業員の皆さんの声をアンケートで集めて、どういう働き方をすれば健康になれるのかをさまざまな角度から分析することで、課題解決へのシナリオを提示する「はたらきかた健診(*注2)」というサービスも行っています。

個人の幸せが会社を幸せにし、日本を元気にするんですね

丹羽:
これからイトーキ様でも「タニタ健康プログラム」を導入していただくことになっていますが、弊社では、統計解析の技術者なども入って、計測データを活用して物事を考えるようにしています。例えば、活動量や歩数が施策ごとにどう変化するのかなど、データを見ながら成果と次のアクションを考えるという手法を取り始めています。

平井様:
それは新しいですね。どういう行動が健康づくりに役立っているか、その結果、どういうパフォーマンスに繋がるか。そうした貴重なデータがお客様の新しい価値に繋がっていくという発想は「はたらきかた健診」にもありますよ。これまで集まったデータ、これから集まるデータ、それをまとめていくことで、今までにない新しいアプローチ手法が生み出せるという期待感を持っています。

丹羽:
そうですね。例えば、休憩時間にちょっと寝るのは健康に良いと言われますが、実際にデータを取ってみて、それが本当に良いということが裏付けられると説得力が高まります。

平井様:
データの活用という意味では、ITOKI TOKYO XORK(日本橋)でゴールドクラスの予備認証を達成した「WELL Building Standard TM(WELL認証(*注3))」は、人間が働く最高の環境の中で、個人のパフォーマンスを最大化するという仮説のもとにチャレンジしたものです。
これは空気や水、食事、快適性など7つの概念において、健康的な環境がどのくらいオフィスで整っているかが評価されるもので、働く人間にとってベストな環境であることが認められたということになるんですね。

丹羽:
そういう施策にすでに取り組んでいるイトーキ様のような会社が、私たちの「タニタ健康プログラム」を導入すれば、さらに従業員のみなさんのパフォーマンスが向上することでしょう。

平井様:
おっしゃる通りで、すでにタニタの健康プログラムをトライアル導入して良い結果が出ている部門もありますよ。
丹羽:
はい、うれしいですね。東京・月島にある御社の“Design LAB Tsukishima”で、120名中50名がタニタ健康プログラムに参加したいと手を上げてくれました。参加したみなさんの健康への意識はとても高く、1日8千歩以上歩いている人たちがたくさん出ています。こうしたデータをもとに、今後イトーキ様にさまざまな健康プログラムを提案していきます。

平井様:
期待しています。結局、健康経営を何のためにやっているのかと言えば、健康で働くことは個人の幸せに繋がる。そうした個人の集団が会社を構成しているわけで、企業の幸せも個人の幸せの積み重ねから生まれるわけです。
つまり、個人が「働く幸せ」を感じることが一人ひとりのパフォーマンスを最大化し、それが企業のパフォーマンスを高め、ひいては日本を元気にするんだという社会の幸せに繋がると思うんですよ。

※2019年4月下旬からITOKI TOKYO XORKで社員700名を対象にタニタ健康プログラムがスタートし、導入説明会には約半数の社員が参加しました。


丹羽:
よくわかります。弊社の親会社タニタでも健康経営を2009年から取り組んでいますが、単に「健康的な施策をやろう」と経営者が旗を振っても、従業員からは押し付けと思われてしまいます。そんな中で、従業員と家族が健康であれば、結果的には自分の生活が充実する。その充実度が仕事のパフォーマンスを上げる。それを実践していくのが健康経営だと考えるようになったんです。

平井様:
はい。従業員から何かをしようという声が上がってくることが大事だと思います。
丹羽:
平井社長が先程おっしゃったように、従業員から健康経営についての提案が上がってくるというのは、会社と従業員のエンゲージメントを高める。つまり、健康経営がその絆を強くするツールになるということでしょうね。

平井様:
全く同感です。例えば、病気でないからと言って必ず健康であるとは言えません。マイナスのゾーンとゼロとプラスのゾーンがあるとしたら、マイナスはもちろん健康とは言えないけど、ゼロは健康といえるのでしょうか。そうではなく、健康経営の定義はプラスのゾーン、もっとポジティブな意味の健康でなければなりません。

丹羽:
そういう考え方が健康経営の根幹ですね。

平井様:
従業員が100%健診を受けましたとか、病気の比率が減りました、の先をいくような、プラスのゾーンがこれだけ増えましたということを志向していかないと本当の意味での健康経営とは言えません。

「不健康な社長に“健康になろう”と言われてもダメです(笑)」

丹羽:
そういうポジティブな健康経営を志向していくために、社長の役割は大きいと思います。ただ、トップが声がけをしただけでは誰もついてきません。健康の維持増進が大事だと言うのであれば、まずは自分自身がそれを模範として示すべきであると。
それから、従業員が健康であり続けられる環境や制度を整えることもトップとしてやるべきことです。そこに対する投資はコストではないので、どんどん積極的にやっていきたいですね。

平井様:
私の社長室はガラス張りで、トレーニングマシンや体組成計も置いてあります。外から丸見えの部屋こそ従業員に対するメッセージであり、私にとっても心の健康に繋がります。最初は抵抗もありましたけど、不健康な社長から「健康になろう!」なんて言われたくないでしょうからね(笑)。

丹羽:
社長室がガラス張りは正解ですね。トップ自らが日頃からトレーニングに励んでいる姿を見せたら、そりゃあ従業員も燃えますよ(笑)。
「世界一健康に配慮した社長室」をテーマに掲げる、イトーキのガラス張りの社長室。トレーニングマシンやTANITAのプロ仕様の体組成計も設置されている。
平井様:
そういう思いから、弊社では2017年に健康経営推進委員会を立ち上げ、人事・総務部門をはじめ、健康保険組合や労働組合など全社を横断するメンバーを集めて、健康経営を推進しています。

丹羽:
そうしたメンバーには、どういう人が向いていると思いますか?

平井様:
何と言っても情熱を持っている人にやってほしいですね。熱意をもって「一緒に健康な会社を作ろうよ」と、まわりをどんどん巻き込んでいくような人。今のメンバーもよくやってくれているけど、もっと喧嘩するほどぶつかってくれてもいいかなと。今は社長が前に出すぎてしまっているところも多いので、そこが僕の反省点ですけどね(笑)。

丹羽:
そう考えると、トップダウンとボトムアップの両方が必要なんですよね。そしてその中間も重要です。弊社では2018年度から取締役がCHO(Chief Health Officer)を務めています。実は彼自身が禁煙取組中で(笑)。そうした推進メンバー自身も健康度アップにチャレンジして発信していくことで全社を巻き込んでいけると思うんですよ。
日々、体組成計測をされているという平井社長は、丹羽からの計測結果カウンセリングに熱心に耳を傾けていました。
対談日:2019年3月22日
※後編へ続きます。
*注1:イトーキの「Workcise(ワークサイズ)」
「Work(働く)」と「Exercise(健康活動)」を組み合わせた造語。立って仕事をする、積極的に歩くなど、Workciseを取り入れたオフィスでは、カラダとココロの健康づくりを目指します。
*注2:「はたらきかた健診」
“働き方改革”や“健康経営”の課題分析、効果検証に活用できる、イトーキが提供するWEBアンケートサービス。従業員がどのような働き方をしているのか、そしてそれらが健康や生産性与える影響を “見える化”することで、働きながらの健康づくりを促し、高い生産性を発揮できるように診断・分析します。
*注3:「WELL認証」
「WELL認証」は、空間のデザイン・構築・運用に、健康という視点を加え、より良い住環境の創造を目指した評価システム。イトーキの日本橋オフィスでは、2018年に「ゴールド(予備認証)」を達成しています。
社名 株式会社イトーキ
事業内容 オフィス関連事業、設備機器関連事業、その他
創立 明治23年12月1日
従業員数 2,007名(2018年12月末現在)
URL https://www.itoki.jp

 

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