レポート04:プロ視点の体組成データ活用

筋肉の量だけではなく質もマネジメントする

コンディショニングサポート・データ活用
2019.10.30
雨宮 祥子 | 管理栄養士
私たちは選手をサポートするうえで、日々さまざまなバイタルデータを使って、選手のコンディションを確認しています。そのデータを分析して得られる指標の中でも、当初は予期していなかった活用方法を見いだせる場合があります。今回は、その中でも「筋質点数」という指標についてご紹介します。

筋肉の質の変化を見極める

「筋質点数」は、タニタのデュアルタイプ体組成計に搭載している指標で、筋肉組織の状態である「筋質」を点数(0~100点)で評価するものです。計測にあたっては、細胞全体の情報を取得する高い周波数と細胞外の情報を取得する低い周波数の二つの電流を使う「デュアル周波数」計測技術を使い、筋肉組織の状態を電気的に評価します。アスリートサポートで使用しているモデルは、タニタのデュアルタイプ体組成計「RD-800」シリーズ。トップアスリートの場合なんと常に100点に近い数値になりますが、その中でも数値の細かい変化をとらえて、「どんな時にその数値になるのか」「どうしたら数値は回復するのか」、その要因を私たちは追求しています。

競歩の岡田選手(ビックカメラ所属)の場合、「筋質点数」を定期的にはかっていた際に、ポイント練習や長距離トレーニングなど高強度の練習をした後や試合後に、筋質点数が低下することに気づきました。このような場合には筋肉のコンディションが低下している状態になっていると考えられるため、栄養や休養をしっかりととり、睡眠の質を高めるなどのアドバイスをしています。
また、別の競技の選手では、疲労感を感じる際に筋質点数が下がっているという傾向もありました。この場合、筋質点数の低下を早期に発見することで、早めに筋肉の状態を回復させることができるため、ケガのリスクも抑えられると考えています。

筋肉の「量」だけはなく「質」も見る

筋質点数は、加齢や運動習慣の有無で大きくかわるため、筋肉量の増減がない中でも運動効果を確認することができます。
私たちも「筋質点数」という指標をコンディション管理に活用し始めた当初は、あくまでも体組成データの一つとして、どちらかというと点数自体やその変化に着目してモニタリングしていました。しかし今では、この「筋質点数」が上がるときではなく、下がる時にこそ筋肉からの黄色信号だと考え、この指標を重視しています。特に、点数が下がると選手が疲労度を感じやすくなる場合も多いので、大切な試合に筋質点数が下がった状態で臨むことのないようにサポートしています。

まとめ

スポーツ栄養サポートにはさまざまな客観的指標を使って選手のコンディションをモニタリングしていくことが重要です。からだの状態をはかるテクノロジーは常に進化し、それに伴って指標も多様化してきています。私たちはこれらを積極的に活用し、さらにそれぞれの数値の変化を選手のリアルなコンディションとリンクさせることで新しい活用方法を見出しながら最善のサポートを追求しています。
そして最終的には、選手自身が自立したコンディショニングができることを目標に、数値の活用をもとにした科学的なサポートをこれからも行っていきます。
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